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消費者庁新設と市町村消費者行政の充実強化にむけて
要請書

2008年8月21日

消費者主役の新行政組織実現神奈川会議

(消費者会議かながわ)

1.消費者庁創設にあたって、国に対して、以下の意見書を提出してください。

(1) 消費者の苦情相談が地方自治体の消費生活相談窓口で適切に助言及びあっせん等により解決されるよう、消費生活センターの設置、業務、及び機能等を法的に位置づけるとともに、消費者被害情報の集約体制を強化し、国と地方のネットワークを構築することなど、必要な法制度の整備をすること。

(2) 地方消費行政の体制、人員、及び予算を抜本的に拡充強化するための財政措置を講ずること。

[説明]

政府は、消費者庁創設を検討していますが、一方で、市町村消費者行政の実情は消費者行政予算の年々の削減、相談窓口は十分な相談体制がとれない、あっせん率の低下、消費者啓発も十分に行えないなど、多くの問題を抱えています。真に消費者利益が守られるためには、強い権限を持った消費者庁の創設とともに、国の消費者行政の実行部隊である市町村消費者行政を飛躍的に充実させるため国の法制度の整備および財政措置が必要です。

 

2.国の消費者庁創設の動きに機敏に対応して、神奈川県においても県政ならびに県内市町村の消費者行政を立て直し、拡充強化をすすめてください。

(1) 県民部消費生活課を「消費生活部(局)」に格上げし、情報・表示等の一元管理、強力な総合調整権限、勧告権をもち、企画立案機能、調査・分析機能を強化してください。消費者の目線に立ち、各部局の縦割りを超えて、消費者行政の横断的・一元化の司令塔の役割を果たしてください。

(2) そのために、市町村、消費者団体、消費生活相談員、学識経験者が参加する「消費者行政の拡充強化検討委員会」(仮称)を設置し、広く県民意見を募集しながら、検討をすすめてください。

(3) 当面、神奈川県第15期消費生活審議会で、「国の消費者庁構想等に対応して、県・市町村の消費者行政のあり方」を諮問するようにしてください。

3.消費者被害をなくし、消費者行政の拡充強化のために、以下の施策を強めてください。

(1) 消費生活担当部局の強化について

1 悪質商法や欠陥商品、食品偽装表示など、事業者に対するあっせん・指導・規制を強めるため、担当部署・人員の拡充をはかってください。

また、指導後の改善状況の見届けや市町村への周知をはかってください。

2 県・市町村の職員・相談員の育成と専門性を高めるため、国民生活センターなどの外部研修を含め、県費(公費)による研修体制の充実を図ってください。

3 相談員の職務の専門性・多様性・即応性に応じ、また、実際の県民被害の救済に果たしている多大な社会的役割の評価に立って、給与その他待遇を抜本的に改善してください。

4 消費生活行政において、消費者啓発は苦情処理とともに車の両輪とも言うべき役割を持っています。相談情報を収集・分析し、それを県民にフィードバックする啓発事業は、結果として消費者被害未然防止に重要な役割を果たします。特に悪質化・複雑化・高額化傾向にある最近の深刻な消費者被害の増加により、啓発事業の必要性は非常に高まっております。学校・企業・地域など各年齢層を対象に積極的な啓発事業の充実・強化を図ってください。

(2) 県の消費生活センターの強化について

1 中央消費生活センター(横浜)のみならず、県央・県西に拠点となる県立のセンターを設置し、市町村への支援と連携を強化してください。

また、中央消費生活センターは、県の消費生活担当部局と同一場所に設置し総合調整・企画立案・分析機能等をより強化してください。

2 消費生活相談を「相談支援業務」ではなく、「直接相談+支援相談」業務として位置づけを改めて、県として直接相談を行っていることを鮮明にしてください。

3 県としての苦情相談処理の役割であるセンサー機能、インフラ機能を強化してください。そのためにかながわ中央消費生活センターの職員及び相談員の人員を増員し、相談窓口を増やしてください。

4 相談内容に応じた専門別の配置と能力形成に努めること。各分野(例えばエステ、塾、建築、金融、運輸等々)別に調査研究、情報分析・提供を行なえる職員と相談員による専門スタッフ制を確立してください。

5 県自ら又は他機関との連携による商品テスト機能を拡充・強化してください。

6 中央消費生活センターがある6階フロアーに展示・資料コーナーや研修室を整備し、消費者、消費者団体に開放し場の提供をしてください。

7 消費者基本法(第2条、17条)にはさまざまな場を通じて啓発活動、消費者教育の推進が述べられています。県民や消費者団体が消費生活に関して集い、自ら学びあい、必要な時に消費者問題の専門家から適切な助言を得られる場を検討して下さい。消費者教育の推進に力を入れて下さい。

(3) 市町村の消費者行政強化について

1 市町村の消費生活相談窓口を週5日(4日)以上開設できるようにするために、県として必要な支援を行ってください。

2 市町村における消費者教育・啓発、消費者団体活動の格差をなくし、県民の消費者力向上のため場(会場)の提供を含めて支援体制を強化してください。

3 各市町村も、消費者行政を位置づけて、相談員体制、職員配置など強化をしてください。

以上

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要請書提出にあたって補足説明

1.政府の消費者行政推進基本計画の意味すること

6月27日、政府は「消費者行政推進基本計画について〜消費者・生活者の視点に立つ行政への転換〜」(以下、基本計画)を閣議決定し、関連法案を今秋の臨時国会に提出する準備をしています。

消費生活相談・食の安全・製品事故など情報の一元化を行い、企画・法執行の強力な権限をもつ消費者庁設立をめざしています。同時に立派な消費者庁が実現しても停滞している地方消費者行政を充実することが肝要であり、そのための国として必要な法整備や予算措置をとること、あわせて地方自治体も消費者行政立て直しに真剣に取組むよう要請しています。

2.消費者被害・製品事故多発→市町村消費者行政が衰退の一途を辿っている

(1) この間、各地方自治体の消費者行政をみると、予算の大幅削減、職員の削減が行われました。その結果、時代は「事業の事前規制から事後規制」に転換しているのに、行政からの事後のチェック機能が著しく停滞し、消費者被害・製品事故・食の安全事故など後を絶たないほど多発しています。このことは、県及び市町村消費者行政が大幅に後退・停滞していることを意味しており、県民の安全な生活を守る視点から考えると深刻な事態です。

(2) 消費者行政後退の要因は @これまで政府からでていた交付金が全部なくなったこと A各自治体の財政困難 B消費者行政は、教員・消防暑などのように法定化されていないため予算や定員の削減が行われやすいことがあげられます。

(3) 中でも、神奈川県及び市町村の消費者行政の後退は著しい

神奈川県は90年代に、地方分権推進を名目にして、それまで県が8つの消費生活センターを設置してきましたが、これらを全部廃止し、市町村に消費生活相談など消費者行政推進を位置づけました。いわゆる「神奈川方式」である。当初は各自治体に、相談業務支援予算を補助していたが、5年間を経過し打ち切りました。

◆その結果、県内市町村では

○相談体制は市町村で格差が生じた。政令市・中核市などは比較的、相談体制などできているが、多くの自治体は、窓口週5日開設できない、相談員も一人しか配置できないなど厳しい状況。

○市町村消費者行政担当者も兼任が多く、消費者行政に十分時間をかけられない。

○相談員体制や待遇も市町村によってマチマチであり、格差が生じている。

○8つの県センターがあったときは、学習啓発事業が活発だったこと、消費者展の開催などをおこない消費者団体や近隣市町村ともまとまりがあったが、それらが市町村事業となったため、むしろ分散化・縮小化・停滞している。

◆神奈川県も

○統合化したった一つとなった神奈川県中央消費生活センターも専門性・広域的支援、センサー機能は不十分であり市町村の期待に応えきれていない。

○相談員体制が厳しいものがあり、県民の相談電話にも出られない状況がある。(電話がなかなか繋がらない)

○本課では特定商取引法などの事業者指導を管轄しているが、東京都・静岡県などと比較すると事業者指導は不十分。法執行する担当職員が圧倒的に少ない。

○県の消費者行政予算は全国でも最低レベル

  • 一般会計にしめる消費者行政予算の割合 0.003%(全国平均0.01%)
  • 県民一人当たり消費者行政予算額     6円(全国平均40円)全国最下位
    調整:横浜・川崎市人口除く       13円  全国46位(ワースト2位)
  • 消費者行政予算 5,100万円の全国位置  全国7位(人口は全国2位)

*県の財政も厳しいことは理解しますが、あまりにも消費者軽視です!

基本計画でいっている、「消費者の視点で、消費者の目線で」全面見直しが必要。

(4) いわゆる「神奈川方式」について (詳細は別添参照)

  • 県は、「神奈川方式」について、地方分権推進の時代の流れを先取りしたものとして豪語しているが、市町村の消費者行政が停滞し不十分であることをみればあまりにも問題がある。市町村への予算支援が伴ってこそ地方分権推進は成り立つのではないでしょうか?
  • 全国消団連や全国の消費者団体・関係者からは、「神奈川県のようにならないように」が合言葉になっており、「神奈川方式」に対して、厳しい批判の矛先が生じています。

* 神奈川県及び市町村併せて、トータルとしての消費者行政の現状がどうなっているか分析し評価し、必要な手立てをすることが大切です。県が消費者行政施策をあれこれやっていますだけではダメ。消費者問題は地域で発生しており肝心の市町村消費者行政が十分機能しないと解決できません。

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「神奈川方式」の不十分(誤謬、錯誤?)な点について

〜消費者基本法第19条からの考察〜

1.神奈川方式

神奈川県は、「苦情の処理あっせんは基本的には市町村の役割であり、県はそれを支援する役割」としています。(いわゆる「神奈川方式」といわれています)。 したがって、唯一県の中央消費生活センターの苦情相談も、直接相談ではなく、市町村が苦情処理あっせんおこなうためそれを補完するための「相談支援業務」として位置づけています。

2.消費者基本法第19条の苦情処理についての県と市町村の役割規定

消費者基本法第19条は(苦情処理及び紛争解決の促進)について、地方公共団体=県と市町村の役割を以下のように規定しています。

  • 第19条第1項前段には、地方公共団体=及び市町村はともに苦情の処理あっせんに努める。後段には、県は、高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあっせん等を行うとともに多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応する。
  • 第19条第2項  県は、専門的知見に基づいて苦情処理を行うために人材の確保及び資質の向上に努める。

3.考察

1 第19条第1項前段では、苦情の処理あっせんは、単に市町村だけではなく、県もその役割をもっていることを規定しており、神奈川方式(苦情の処理あっせんは市町村で、県はその支援の役割)は、明確に消費者基本法の解釈を逸脱しています。県も直接相談を行うことを位置づけなおす必要があります。

2 第1項後段には、県は高度の専門性、広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理あっせんを行う。第2項では専門的知見に基づいて・・人材の確保及び資質の向上に努めると規定しています。これらはいずれも県の固有の役割として位置づけられた大変重要なことです。

高度の専門性、専門的知見に基づいて人材の質量の確保の実現は、県が直接相談を受けて、それもある程度相当数の相談数を受けて、その解決に向けてさまざまな努力をしていく、調査し、勉強し、体験してこそ身についていくものです。つまり、県自らが直接相談をうけないと、その役割は十分果たせないことは明確です。そのために、かながわ中央消費生活センターの相談体制などの機能を徹底的に強化することが必要です。

4.かながわ中央消費生活センターの強化に向けて・・・・私たちの要望

「消費者庁新設と市町村消費者行政の充実強化に向けて要請書」参照

参考資料

消費者基本法

(苦情処理及び紛争解決の促進)

第19条 地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあっせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む。)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあっせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。

2 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他の必要な施策(都道府県にあっては、前項に規定するものを除く。)を講ずるよう努めなければならない。

3 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた紛争が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に解決されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

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