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2019年5月13日

意見 クレジット決済の与信規制緩和について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

複数の業者から借金をしていて、返済が困難になっている状況を多重債務といいますが、多重債務相談者が借金をしたきっかけで最も多い理由は、低収入や収入の減少により生活費や教育費などを補うためです。多重債務者は、改正貸金業法の施行によって年収の3分の1を超える新たな借り入れが不可能になった為に、借り入れを行う人が減少したことで、必然的に多重債務者数はピーク時の約180 万人から大きく減少しました。しかし、その当時のサラ金利用者1,400万人。5件以上借入れ者は230万人。自己破産18万4,000人。経済生活苦による自殺7,800人。という数値の基である悲惨な状況を私たちは忘れてはなりません。

現在、経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会において「テ クノロジー社会における割賦販売法制の現状と課題」についての議論が行われています。すべての議論の前提として、日本において過去に深刻な社会問題となった上記にことを抑えるべきと考えます。消費者が過剰与信等により支払困難に陥る事態を社会の仕組みとしては避けるということです。

 

1.支払可能見込額調査義務の免除、指定信用情報機関の信用情報の照会義務の免除、指定信用情報機関への信用情報の登録義務の免除など規制緩和については、国民生活を守る立場から慎重であるべきです。

割賦販売小委員会に、技術・データを活用した与信審査ができる場合の上記規制の緩和が論点として提示されました。クレジットカード会社がどのような技術やデータを活用して与信診断ができるのか、チェックの内容や問題発生時の対応など明確ではありません。「技術やデータを活用した与信審査」という言葉で魔法のように煙に巻かれても困ります。

そもそも規制が導入された背景は多重債務者の増加防止です。多重債務防止のための過剰与信規制の実効性は担保されるべきです。

 

2.利用限度額 10 万円以下の少額与信カードの場合に、指定信用情報機関の信用情報の使用義務を免除することについては反対します。

現在でも利用限度額 30 万円以下のクレジットカード等を交付する際には、支払可能見込額調査義務が免除される緩和措置があります。更に利用限度額10 万円以下の場合に規制を免除することは、10 万円以下のクレジットカードについて延滞状態となっていても信用情報の正確な把握ができなくなる、キャッシングによる借金で返済するケースが増えるなどにより、多重債務者の増加が危惧されます。

消費生活相談の現場に寄せられる多重債務者からの相談では、多重債務に陥る起点は少額の与信というケースが多く存在します。このような消費生活相談の実態を踏まえた検討がされることを求めます。

また民法改正に伴う2022 年 4 月からの成年年齢引下げにより、若者の消費者被害の増加も懸念されています。こうした中、指定信用情報機関の信用情報の使用義務は維持されるべきと考えます。

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