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2019年1月5日

神奈川県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(改定素案)について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

神奈川県は国からSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業に選定されています。この実施計画を改定するにあたり、「いのち輝く神奈川」の実現に向けて、「誰も排除しない、誰も差別されない、共に生き、支え合う社会づくりの実現のために」取り組もうとする姿勢を評価します。

横浜では今冬で45回目を迎えた、寿日雇労働者組合や寿支援者交流会、夜間パトロール団体など7団体で構成する実行委員会が主催する、路上生活者や独居高齢者、困窮者らを年末年始に孤立させないための支援活動「寿越冬闘争」が毎年行われました。私たちにとっても他人事ではありません。誰でも陥るかもしれない社会の問題としてこの実施計画(改定素案)を読みました。

 

1.住居喪失者は路上(野宿)生活者だけではありません

東京都が行った昼夜滞在可能な店舗で寝泊りしながら不安定就労に従事する、住居喪失不安定就労者等の実態は、東京都により「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」として2018年1月26日に公表されています。この報告によると、インターネットカフェ等をオールナイト利用する「住居喪失者」は都全体で1日あたり約4,000人(オールナイト利用者に占める構成比 25.8%)、そのうち「住居喪失不安定就労者」は約3,000人(住居喪失者に占める構成比75.8%) と推計されています。

ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法では第2条にホームレスの定義があります。概数調査においては、見える形での路上(野宿)生活者は減少しているようですが、「住居喪失者」としての切れ目のない全体把握と対応が必要になっています。 

 

2.自立の評価に違和感があります

実施計画(改定素案)では表9の説明を、「自立に向けた今後の希望としては、『アパートに住み、就職して自活したい』という方が13.9%、であるのに対し、『今のままでいい』という方は38.7%となっており、今の暮らしのまで良いという割合が高くなっています。」と説明しています。しかし、「アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事を見つけたい:7.6%」「何らかの福祉を利用して自活したい:9.7%」「寮付の仕事で自活したい:3.9%」「アパートで就職して自活したい:13.9%」を見れば、35.1%の方が「自活したい」と回答しています。身体の不調を訴えている方が29.1%いる事も考えれば、「自活したい」とする数字に着目すべきです。

 

3.公的機関は機能しているのでしょうか

東京都調査で実態がよく判ります。生活や健康、就労について相談できる場所の認知度は「ハローワーク:85.4%」「区市町村の生活・就職相談窓口:71.1%」「福祉事務所:55.1%」です。一方で実際に相談したことがある場所は、「ハローワーク:39.1%」「区市町村の生活・就職相談窓口:22.9%」「福祉事務所:14.9%」です。相談できる場所があることを知っていても、実際には相談するには至らない方が多数存在しています。また相談した経験があっても「過去に相談した際に断られた:31.7%」があり、相談の手続きが面倒だから:30.9%」とする回答も多数あります。

自立のために就労を希望されても、住まいを失っていると様々な点で困難があります。

一人ひとりの置かれている状況を踏まえて、公的機関、特に福祉事務所の機能の一層の発揮が求められています。

 

4.積極的な健康支援をすすめてください

現在の健康状態について、身体の不調を訴えている者が多数おり、このうち治療等を受けていない者が4分の3は居ると報告されています。健康格差は歴然としています。健康相談や無料低額診療事業の活用などをはじめとして積極的な健康支援を図ってください。

 

5.民間団体との連携について

「民間団体は、ホームレス等にとって最も身近な存在であり、ホームレス等の生活実態の把握や支援活動において重要な役割を担うことが期待されます。」とありますが、本来行政が担うべき役割をある意味「やむにやまれず」活動を行っているのではないでしょうか。民間団体との連携は重要であり効果的に推進すべきことですが、本来は行政が行うべきことを民間団体に押し付けてはなりません。

 

6.人の使い捨て社会こそ問題があります

表6の路上(野宿)生活に至った理由において(複数回答)で、「仕事が減った:33.0%」「倒産や失業:32.1%」「病気・けがや高齢で仕事ができなくなった:20.0%」「アパート等の家賃が払えなくなった:13.9%」などが上位に並んでおり、従来からの流動的雇用である建設日雇労働市場や派遣・非正規労働市場の拡大に見られる労働社会の変容により生み出されている社会的背景があることを抜かして考えることはできません。人の使い捨て社会こそ問題があることを忘れてはなりません。

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