HOME > ニュース > 過去のニュース一覧 文字サイズ 大きくする 普通

2019年1月4日

相次ぐ企業の不祥事について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

公益通報者保護法は2006年4月に施行されました。この法律は正当な内部告発の一部を切り出して「公益通報」と命名し、通報者の保護と社会の健全化、国民生活の福祉増進を図ることを目的としたものです。

しかし、組織の不正に関する現場の声を受け付けて自浄に生かそうとする企業の内部通報制度について、制度自身は普及が進んだものの、「粉飾決算」「無資格検査」「欠陥隠し」「水増し請求」「実態のない工事の架空発注や現金のキックバック」など、日本経済を支えてきたビッグネームの不祥事が次々と報じられ、「制度がまったく機能していないのでは」と思われる事例が相次いでいます。

「メイド・イン・ジャパンが高品質と信頼性の代名詞」であったのはもう遠い過去の話になってしまったのでしょうか。

 

2015年6月に施行された東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードでは、次のように推奨されています。「上場会社は、その従業員等が、不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また、伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、内部通報に係る適切な体制整備を行うべきである。取締役会は、こうした体制整備を実現する責務を負うとともに、その運用状況を監督すべきである。」と。

 

日本経済団体連合会は、かねてより会員企業・団体に求める行動原則である「企業行動憲章」において、相談しやすい職場環境や内部通報体制の整備等を、経営トップが率先して目を配るべき重要項目として位置づけ、不祥事の早期発見や自浄機能の強化を呼びかけてきました。2018年7月公表の「企業行動憲章に関するアンケート調査結果」でも、回答した会員企業の9割超で内部通報窓口が整備されています。不祥事はあってはならないことですが、通報者の保護を通じて、事業者のコンプライアンス経営や自浄機能の強化を促進することは、企業の発展を図るために重要です。

 

経団連は、「法令上で事業者に対して画一的な義務や罰則を課したり、通報の受付担当者に守秘義務を導入することは、円滑な内部通報への対応を阻害し、公益通報の本来の目的である、不祥事や被害拡大の未然防止に支障が生じるおそれや、人事政策をゆがめるおそれがある。また、必ずしも、『通報内容が正しい』『通報される側が不正』とも限らないなか、いたずらに通報要件をゆるめることで、公益通報者保護制度を自己の利益のために利用できるとの誤解を労働者に与え、濫用的通報が増加することも懸念される。加えて、濫用的通報により、虚偽の外部通報がなされたり、情報漏えいが生じれば、事業者に深刻な風評被害や損害が生じ、企業価値が損なわれることにより、消費者・顧客、従業員、株主等のステークホルダーの利益が害されるおそれがある。」として公益通報者保護法の改正にあたっては、「一律に事業者に義務を課したり制裁規定を置くことで不祥事や不利益取扱いを防止するという発想ではなく、自浄機能を高める努力をしている事業者の自主的な取組みを後押しし、また自浄機能が十分でない事業者の体制構築を応援するような制度とすべき」と主張しています。

 

私たちは消費者としてはこれ以上、日本の名だたる企業が不祥事を起し続けることに我慢はなりません。「自浄機能を高める努力をしている」ならば、相次ぐ不祥事と内部通報制度の機能不全について、経団連は個々の企業の問題であるとして個々に任せておくのではなく、経団連の問題として自ら徹底的に問題を切開し、行動すべきです。

前のページにもどる このページトップへ
サイトマップ 神奈川県生協連トップページへ