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2018年12月30日

公益通報者保護法改正について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

報道によれば、企業や行政機関の不正を内部通報した従業員らを守る公益通報者保護法について、見直しを議論する内閣府消費者委員会の専門調査会が12月26日に開かれ、左遷などの「報復」を行った企業への罰則導入を見送ることなどを盛り込んだ報告書案を了承したとされています。

 

公益通報者保護法は2006年4月に施行されました。この法律は正当な内部告発の一部を切り出して「公益通報」と命名し、通報者の保護と社会の健全化、国民生活の福祉増進を図ることを目的としたものです。

しかし、組織の不正に関する現場の声を受け付けて自浄に生かそうとする企業の内部通報制度ですが、制度そのものの普及は進んだものの、「粉飾決算」「無資格検査」「データ改ざん」「欠陥隠し」「水増し請求」「架空発注」「現金のキックバック」など、日本経済を支えリードしている筈の名だたる企業の不祥事が次々と報じられ、「あれ、内部通報制度はどうなっているんだろう」と思う事例が相次いでいます。

 

今回の公益通報者保護法見直しでは、内部通報者への報復的な人事を行った企業に対する罰則導入の可否が焦点の一つでしたが、報告書では、指導や業者名公表といった行政措置は盛り込まれたものの罰則導入については、「今後必要に応じて検討」と記載するにとどまったといいます。また、内部通報を受けた企業の担当者らに、通報者が特定される情報に関する守秘義務を課すことも見送られたそうです。

 

日本経済団体連合会(経団連)は、会員企業・団体に求める行動原則である「企業行動憲章」において、相談しやすい職場環境や内部通報体制の整備等を、経営トップが率先して目を配るべき重要項目として位置づけ、不祥事の早期発見や自浄機能の強化を呼びかけてきました。2018年7月公表の企業行動憲章に関するアンケート調査結果」でも、回答した会員企業の9割超で内部通報窓口が整備されています。

 

公益通報者保護法改正を検討する場面で経団連は、「法令上で事業者に対して画一的な義務や罰則を課したり、通報の受付担当者に守秘義務を導入することは、円滑な内部通報への対応を阻害し、公益通報の本来の目的である、不祥事や被害拡大の未然防止に支障が生じるおそれや、人事政策をゆがめるおそれがある。また、必ずしも、『通報内容が正しい』『通報される側が不正』とも限らないなか、いたずらに通報要件をゆるめることで、公益通報者保護制度を自己の利益のために利用できるとの誤解を労働者に与え、濫用的通報が増加することも懸念される。加えて、濫用的通報により、虚偽の外部通報がなされたり、情報漏えいが生じれば、事業者に深刻な風評被害や損害が生じ、企業価値が損なわれることにより、消費者・顧客、従業員、株主等のステークホルダーの利益が害されるおそれがある。」などとして、法の改正にあたっては、「一律に事業者に義務を課したり制裁規定を置くことで不祥事や不利益取扱いを防止するという発想ではなく、自浄機能を高める努力をしている事業者の自主的な取組みを後押しし、また自浄機能が十分でない事業者の体制構築を応援するような制度とすべき」と主張しています。

 

不祥事はあってはならないのは勿論ですが、通報者の保護を通じて、事業者のコンプライアンス経営や自浄機能の強化を促進することは、企業の発展を図るために重要な筈です。

問題は、少しも解決がされていないことです。不祥事の続発が何年も続いていることです。私たちは消費者としてはこれ以上、日本の名だたる企業が不祥事を起し続けることには、我慢はなりません。内部通報制度が生かされるためには、内部通報者が守られなければなりません。

 

  1. 通報の受付担当者に守秘義務を導入することは、制度のために必要です。
  2. 内部通報者への報復的な人事を行った企業に対して、指導や業者名公表といった行政措置だけでは不祥事を抑止をするのには不十分で、罰則導入は必要です。
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