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2018年8月24日

中央官庁における障害者雇用水増し問題について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

障害者の就労機会を広げ雇用を促進するために、国、自治体や従業員が一定数以上の規模の企業は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)

法定雇用率は今年4月からは民間企業は2.2%、行政機関は2.5%に引き上げられています。企業が定められた割合を達成できなかった場合は行政指導を受け、従業員が100人を超える場合は納付金を課されることになっています。

ところが中央省庁で、法律で定めた障害者の雇用割合(法定雇用率)が水増しされている疑いがあり、その水増しは42年にわたり行われており、共同通信の調べによると、現時点で水増しの実態を明確に否定しているのは警察庁のみという惨憺たる状態です。

国の指針では、算入できるのは身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの所持者が原則で、例外的に医師による判定書などがある人と定めています。2014年には厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康福祉機構による虚偽報告が発覚した際に、所管する厚労省が他の省庁に対しては適正な運用がなされているかの調査を行っておらず、このようなおざなりな対応が水増しの常態化につながったのではとの指摘もあります。

 

企業では、それぞれ障害者雇用をつくり出す工夫をして職場に障害者を迎え入れてきました。障害者雇用促進法第6条(国及び地方公共団体の責務)では、「国及び地方公共団体は、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない。」謳っています。

本来は民間の手本となるべき国の振る舞いとして大変に残念でなりません。この法律は障害者の働く権利を守るためにつくられた筈です。障害者は健常者に比べて就職するのが圧倒的に難しい環境にあります。雇用率を水増しして障害者を「意図的に雇わない」行為は、障害者の働く権利を奪うことに他なりません。

障害者の社会参加を促し障害者と健常者が共に生きる社会を実現するのが、国の目標である筈です。今回の件はそれを中央官庁が皆で、長年にわたり踏みにじっていたということです。

 

省庁同士で責任逃れの泥仕合を続けるのではなく、また雇用の問題を数字ありきにするのではなく、ダイバーシティ(多様性)を認める社会づくりの原点に立ち返るべきです。

 

以下の点を求めます。

 

  1. 42年間続けてきた水増し虚偽報告について、42年間の責任を問うこと。
    2014年に独立行政法人労働者健康福祉機構が雇用率を水増しし虚偽報告をしていたことが発覚した際には機構と元幹部3人が略式起訴され罰金の略式命令を受けています。42年間続けてきた水増し虚偽報告についても同様に42年間の責任を問うべきです。
  2. 再発防止に向けて、厚労省は、他省庁からの報告を点検し公表すること。
    早急に民間企業と同様に3年に1回の障害者数の算定根拠となった文書の点検を始めてください。
  3. 民間企業についても数値目標の達成だけを見るのではなく、実態を把握して「共生社会づくり」の視点から必要な指導を行うこと。
    一人ひとりが働きやすいように、そして生活しやすいように配慮することが共生社会への近道です。その人に合った職場環境と仕事を用意すれば、誰でも能力を発揮できます。
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