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2018年7月29日

相模原殺傷事件から2年

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

2016年4月に行政や全ての事業者に障がい者への合理的な配慮を求めた障害者差別解消法が施行されました。その4か月後の7月26日に神奈川県相模原市の障がい者支援施設である県立津久井やまゆり園で起こされた元職員による「障害者は不幸しか生まない」とする障がい者殺傷事件から2年が経過しました。

改めてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、亡くなられた方々のご家族や負傷された方々のご家族、関係者の方々にも心よりお見舞いを申し上げます。

 

日本が2014年に批准した障害者権利条約では第19条で、「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」「地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること」としています。

大規模入所施設ではなく、地域でのサービス基盤を整備して地域移行をすすめていくことは世界のあたり前の流れになっています。

津久井やまゆり園の再生についても、2016年9月に「現地での全面的建て替え」とする県の意向が示されましたが、神奈川県障害者施策審議会に設置された津久井やまゆり園再生基本構想策定に関する部会により2017年8月2日に検討結果報告書がまとめられました。

報告書では、基本的な考え方として「ひとり一人が大切にされ、どこで誰と住むかの選択の機会が確保されていることが重要。そして、本人の選択の結果を尊重しつつ、可能な限り身近な場所において、必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることが必要」とされています。

神奈川県は「ともに生きる社会かながわ憲章」を2016年10月14日に定めました。7月23日〜29日は、「ともに生きる社会かながわ推進週間」となりました。

 

地域社会の私たちが問われています。

事件があると、行政や各種メディアでは「共生」という言葉を使います。しかし、足元で広がり続ける差別や偏見。息ができなくなりそうな不寛容な社会と弱者切り捨てにまなざしや意識は向いているのでしょうか。

 

国会議員が「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と雑誌で発信し、それを「いろんな人生観もある」と擁護して問題にしない状況があります。

在日コリアンに対するヘイトスピーチはネット空間や街中で横行し、行政からは解決しようとする意欲も見えません。それは生活保護受給者に対する攻撃も同様。旧優生保護法に基づく強制不妊手術に同調する声もあります。

 

「生産性」によって国民を選別する考えの行先は全体主義社会です。人に優劣をつける「優生思想」の典型は、ユダヤ人らを大量虐殺したナチス・ドイツです。580万人とも言われるユダヤ人犠牲者を出したホロコーストは知られていますが、ホロコーストの前に、ドイツ人の精神障がい者や知的障がい者、同性愛者、アルコール依存者、回復のない病人、交通法違反者、遅刻・無断欠勤常習者などが「国家のごくつぶし」とされ、「T4作戦」によって殺害されました。

 

歴史から学ばなくては。

私たちは 他者から「生産的である」と認められた時だけ生きる権利があるのではありません。「生産性があるかないか」ではなくて、「生きていること自体が一つの価値である」とする社会を、障がいを持って生まれても尊厳が奪われることのない社会こそ、私たちが生きたい社会です。

 

生産性は人の価値ではなく、生きていることそのものに人の価値があるのです。

 

弱者切り捨ての不寛容な社会から抜け出すために、前を向き、「分かちあい」「助け合い」「「共にいきる」社会へ、人の未来を信じて歩んでいきたい。

そのために私にも何かできる筈。

みんな無関係ではない。

それが、同じ時代を生き、同じ神奈川県にくらす者としての思いです。

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