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2018年5月3日

著作権侵害サイト対策としてのブロッキングについて

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

人気漫画を無許諾でインターネット配信する漫画海賊版サイトが人気を集め問題になっています。政府はインターネットサービスプ ロバイダ(ISP)に対して、3つの海賊版サイトを指定し、海賊版サイトへのアクセスを遮断する「ブロッキング」を要請しました。今回の件は大いに問題があるものです。

 

1.政府が特定のサイトのブロッキングを事業者に要請することについて

漫画等の海賊版が大量にアップロードされていることは、著作権上対策が必要であると認識していますが、今回のやり方は大いに問題があります。

政府が特定のサイトのブロッキングを事業者に要請することは、「通信の秘密」や「検閲の禁止」を定めた憲法21条に抵触するおそれがあり、要請を受け入れた事業者側も、電気通信事業法の「通信の秘密」に抵触するおそれがあります。

法的根拠がなく、憲法違反になりかねない要請を政府が民間に対して行う事は、日本は法の支配を尊重する国家ではないと言っているのと同じです。ISPによるブロッキングを実施している国は40カ国以上あるとされていますが、少なくとも先進国では、議会での立法を経ているか、裁判所の判決に基づいて行われています。

「権利侵害が発生した」と判断すれば、司法判断なしに閣議決定のみでブロッキングできる」という先例は、あらゆる権利侵害について、政府の一存でブロッキングが可能となる危険な事態です。「政府や○○にとって都合の悪いものは、閣議決定でみんな止められる」。これは、民主主義の危機ではないでしょうか。

 

2.「一時的な緊急避難措置」について

また通信の秘密の侵害について、政府は刑法上の「一時的な緊急避難措置」と位置付けているようですが、刑法における緊急避難とは、@現在の危難(危難が差し迫っている状況)があり、A補充性(その危難を避けるためやむを得ない場合)で、B法益権衡(生じた害が避けようとした害を超えない場合)のみに認められる、と法関係者は説明しています。

例えば、2011年に始まった児童ポルノサイトのブロッキングでは、児童ポルノは、@被害児童の人権が侵害されており、Aほかの方法では十分保護できず、B正当な表現を不当に侵害するものではないと上記の3条件を満たしていると理解できます。また、検閲に当たることを避けるために、政府からブロッキングの要請はせずにISPの自主的な判断で行っています。

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