HOME > ニュース > 過去のニュース一覧 文字サイズ 大きくする 普通

2017年10月31日

建設アスベスト神奈川第2陣訴訟横浜地裁判決 
および第1陣訴訟東京高裁判決を受けて

建設アスベスト訴訟の早期全面解決と被害者補償基金制度の創設を求めます

神奈川県生活協同組合連合会
専務理事 小林 正明

建築現場の作業でアスベスト粉塵による肺がんなどの石綿関連疾患を発症した神奈川県の建設労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めていた建設アスベスト訴訟において、横浜地裁と東京高裁による判決が相次いで下されました。

いずれも国と建材メーカーの損害賠償責任を認める判決となりました。

 

アスベストは大量に産出され、安く、加工しやすく、軽く、断熱性・耐火性・耐薬品性・電気絶縁性・防音性が高い・通常環境条件下では分解も変質もしないなどの特質を有することから「奇跡の鉱物」と重宝がられ、特に建築資材に使われていました。

この「奇跡の鉱物」が今や「悪魔の鉱物」と呼ばれています。アスベストが発がん物質で危険だということが国際的な共通認識になったのは今から50年以上前になります。それにも関わらずアスベストが日本で使用を禁止されたのは2006年とほんの最近です。アスベストを吸って病気になるまでには10年〜40年ほどの潜伏期間があるとされており、今後被害者がどんどん増加していくと言われています。

建築資材にアスベストが使われていて危険であることも知らされないまま、建築現場で働き続けてきた建築職人さんたちが今、アスベスト被害に苦しんでいます。

今後は、建物の解体も増加していきます。

 

10月24日の横浜地裁判決では、国と建材メーカー2社に対し、総額約3億5百万円を原告39人に支払うよう命じました。

判決は、「74年ごろにはアスベスト関連疾患を発症する危険性を認識でき、76年までに防じんマスクの使用や作業現場への警告表示を義務付けるべきだった」と指摘。またメーカーについても「1976年にはアスベストの危険性を警告すべき義務があった」と認定しました。「発症にどのくらい寄与したか不明でも、被害者が建設現場で吸い込んだと認められる建材を製造したメーカーの責任を認めるのが相当」として、メーカー2社に賠償を命じました。

 

続く10月27日の東京高裁判決は、国と建材メーカーに対する請求を全て棄却した2012年5月25日の横浜地裁判決を覆し、高等裁判所として初めて国と建材メーカー4社に対し、総額約3億7千万円を支払うよう命じました。

東京高裁判決は、1972年ごろまでには石綿が健康被害を及ぼすとの医学的知見が確立していたと指摘。国が75年に建設作業での石綿吹き付けを原則禁じるなどの対策を講じてから5年たった80年までに、事業者に対して屋内建設現場で作業する労働者に防じんマスクを着用させる罰則付きの義務化を図らなかった点などを違法と判断しました。その上で、義務化が実現した95年4月までに現場で作業していた本人や遺族への賠償を命じました。メーカーの責任については、75年時点で石綿の危険性などを建材に警告表示する義務があったと認定。石綿製品のシェアなどから、4社に賠償を命じました。

しかし残念なことに元請けなどと雇用関係のない「一人親方」と呼ばれる個人事業主については、労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらないとして、国は賠償責任を負わないとしています。一人親方に対する救済を国は示すべきです。

 

建設アスベスト訴訟は、2012年12月5日の東京地裁判決以降、これで6つの地裁が連続して国の責任を認める判決を下しました。今回の東京高裁の判決によって、国の責任を認める司法判断は不動のものとして確立されたと認識します。

また、今回2016年1月29日の京都地裁判決の「一定以上のシェアを有する建材メーカーに対して損害賠償を命じた」判決に続き、建材メーカーに損害賠償を命じられたことは、全国の建設アスベスト訴訟にも大きな影響を与えるものと考えます。

 

この間の連続する判決を、国と建材メーカーは正面から受け止めるべきです。そして、一人親方・事業主に対する救済責任を果たす事も含め、国と建材メーカーは、今こそ建設アスベスト訴訟の早期全面解決と建設アスベスト被害者補償基金制度の創設を決断すべきです。

前のページにもどる このページトップへ
サイトマップ 神奈川県生協連トップページへ