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2017年6月29日

課徴金制度の見直しに係る意見

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

独占禁止法は、資本主義の市場経済が健全で公正な競争状態を維持するために、独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的とする大変重要な法律と認識しています。

独占禁止法違反行為によって生じる価格の引上げやサービスの低下等によって被害を受け、利益を侵害されるのは消費者です。また独占禁止法が強化され、公正取引委員会の執行機能が強化されることは、消費者にとっては品質や機能が良好な商品を適切な価格で多くの選択肢の中から購買できる市場環境が拡大ことになりますが、このことは市場経済の健全な発展のために大変重要な点です。

その事を踏まえ、3点について意見を述べます。

 

1. 独占禁止法に違反する行為を行った企業については相応の課徴金を支払うという形で、違反行為で得た利得を剥奪できる制度であるべきです。

独占禁止法の違反行為を防ぐためには、違反行為を行った企業はもれなく相応の課徴金を支払わされる制度であるべきです。違反行為を行ったにもかかわらず、その違反行為で得た利得を剥奪できなければ、違反行為の抑止にはつながりません。違反行為で得た利得を剥奪するために、以下の点の見直しを求めます。

(1) 対象企業の範囲の拡大

現行制度では、日本に売上額のない海外企業については、独占禁止法違反行為に対して課徴金を課すことができません。国民が独占禁止法違反行為によって生じた価格の引上げやサービスの低下等の被害を受け、利益を侵害されても、「日本に売上額のない海外企業による」という理由で、その企業が課徴金の対象とはならないという事は納得できません。

(2) 課徴金の算定期間の延長

現行制度では、課徴金の算定期間は上限が3年となっています。露見しても3年を超える長期間の違反行為が続けられれば不当利得が残るという仕組みです。長く違反行為を行い、3年を超えさえすれば違反企業にとって露見しても「やり得」という状態の放置は納得できません。

(3) 課徴金額の引き上げ

データによれば、現行制度の課徴金額は違反企業が違反行為によって得た利益の平均額すら課せてはおらず、抑止効果を発揮することができていません。

課徴金の水準を引き上げるべきです。

(4) 企業グループ内での違反行為の摘発と対策

現行制度では、「企業グループにおいてグループ内子会社を違反行為に関与させて、中小企業又は業種に応じて軽減された算定率の適用を受ける」という事を防げません。

 

2. 独占禁止法に違反する行為を行った企業を、違反行為の調査に積極的に協力させる制度とすべきです

独占禁止法違反行為という日本経済・市場に悪影響を与え、消費者の利益を損なう行為をした企業が摘発をされた場合、企業の社会的責任を果たさせるためには、まず公正取引委員会の調査に積極的に協力をさせるべきです。違反企業が公正取引委員会の調査へ積極的な協力する態度となるように制度を検討すべきです。

(1) 調査妨害行為に対する有効なペナルティーの導入

独占禁止法違反認定を受けている企業が、証拠隠滅等の真相妨害行為を行わず、積極的に調査協力する態度となるように、効果的なペナルティーの導入が必要と考えます。

(2)調査協力インセンティブを高める制度の導入

調査に協力した企業ほど課徴金が減額されるような仕組みとすることで、事業者に一層調査に協力させることが可能となります。調査協力度合いに応じて課徴金を計算する仕組みを設ける必要があると考えます。

 

3. 防御権の法定化には、独占禁止法の厳正な執行を妨げるおそれがあります。

「企業の防御権を強化」は、実態解明が遅れたりできなくなるおそれが大きく、公正な市場の回復が遅れることで消費者の利益が侵害されることになります。調査権限の強さとのバランスを考慮せずに、違反企業の手続保障を強化すれば、重要な証拠が隠されることで、行政機関はしっかりとした調査が行えなくなる可能性があります。

(1) 秘匿特権の導入の問題

秘匿特権の導入は、独占禁止法研究会においても、その必要性が認められませんでした。企業が秘匿特権により、弁護士・依頼者間の通信内容を示した証拠の提出を忌避できることとなれば、公正取引委員会は調査対象企業から、証拠が得られる可能性が減少し、十分な調査が行えなくなるおそれあります。

(2) 供述聴取時の弁護士立会い、供述聴取時の録音の問題

供述人は供述聴取時に、経験したありのままの事実を供述すればよく、弁護士による法的助言は必要ないこと等を踏まえると、弁護士の立会いを認める必要などありません。万が一、弁護士の立会い・録音等を認めた場合、供述内容が企業に伝わることで、従業員たる供述人が忖度したり、組織からの報復を考えて供述内容がありのままとはならない等が考えられます。

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