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2016年10月11日

意見 神奈川県消費生活条例の見直しについて

特定非営利活動法人神奈川県消費者の会連絡会
代表理事 今井 澄江

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

はじめに

1982年には、国際消費者機構(略称CI)が、消費者には権利と同時に責務があるとして、消費者の8つの権利と5つの責務を提唱しました。日本においては1968年に「消費者保護基本法」の制定により、消費者政策の基本的な枠組が作られ、2004年6月の改正により「消費者基本法」へと変わり、基本法では消費者の権利の尊重と自立支援が謳われるとともに、消費者の権利がはじめて明記されました。

神奈川県においては、1973年秋中東戦争をきっかけに起こったオイルショックに端を発する、「モノ不足パニック」による市民生活大混乱を経て1974年10月に「県民生活安定対策措置条例」を制定した。この条例は消費者保護基本法に基づき県・市町村・事業者の責務と消費者の役割を明記し、危害の防止や規格・表示・包装の適正化など消費者保護の諸施策を掲げ、価格の安定に関する緊急対策として価格の動向調査、供給の協力要請等を規定、違反者に対しては行政指導、勧告、公表という制裁措置を設けたものです。更に1980年3月には「県民生活安定対策措置条例」にかわり、消費者の5つの権利を基本にすえた「神奈川県消費生活条例」が制定などをはじめ今日まで数次の改定を経て県民の消費生活の安定と向上のために役割を果たしてきました。

今回の見直しにあたり、更なる県の消費者行政の充実を求め意見を述べます。

 

1.消費生活条例の目的を再検討するべきである。

消費者基本法においては、「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。」とし、基本理念として、 

第二条  消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。

 消費者の自立の支援に当たつては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。

 消費者政策の推進は、高度情報通信社会の進展に的確に対応することに配慮して行われなければならない。

 消費者政策の推進は、消費生活における国際化の進展にかんがみ、国際的な連携を確保しつつ行われなければならない。

 消費者政策の推進は、環境の保全に配慮して行われなければならない。

としています。

県消費生活条例の見直しにあたり、そもそもの「消費者の利益の擁護及び増進」という目的を明記するは必要であると考えます。

 

2.県の責務(消費生活課の責務)を明確にすること

消費者庁においては、自らの使命を実現するために以下の行動指針が作成され、消費者に明らかにされています。神奈川県民の消費生活の安定と向上の要となる部署として、その位置付けや役割を明確にして責務を明文化することは必要と考えます。昨今の消費者被害状況を見ても、同業者であろう同手口の被害が市町村を超えて多発しており、県が自らのセンターオブセンター的役割を認識しその広域的な情報収集と市町村への情報提供及び対応方法の提示、県民に対する早期の注意喚起が必要です。本来の役割を果たすためには、条例において役割を明確にすることが必要です。

<参考>

消費者庁の使命を実現するため、以下の指針に則って行動します。

消費者・生活者の視点に立ち、国民全体の利益を考えます。

国民は全て消費者です。日々の暮らしの最も基本的な活動が消費であり、それは一国の経済における総需要のうちの最大のものです。安全・安心な商品及びサービスが市場に供給され、仮に被害に遭っても円滑に救済されることになれば、消費の増加が期待されます。消費が増加すれば、事業活動も拡大し、国民経済全体が発展することになります。

消費者庁職員は、消費者・生活者の視点に立つことが国益であることを認識し、一生活者としての「気づき」を仕事にいかすためにも、「ワーク・ライフ・バランス」を実現させ、何が「消費者のために」なるのか、「自分が当事者ならどう思うか」を心に置き、行動します。

自らの仕事に誇りを持ち、強い責任感と高い志を持って職務を遂行します。

社会で生活していく限り、国民はあらゆる消費者問題に直面します。消費者庁職員は、そうした様々な問題への解決に向けた国民からの期待を自覚し、消費者行政の舵取り役の一員であることに誇りを持ち、強い責任感と高い志を持って職務を遂行します。消費者問題に正面から向き合い、あきらめずに努力し続けます。

便利で分かりやすい情報を提供するよう心懸け、コミュニケーションを重視します。

消費者行政の推進には、消費者を始め、事業者、関係行政機関、地方公共団体など幅広い主体との連携・協力が不可欠です。そのため、コミュニケーションを重視し、特に情報発信に当たっては、受け手の立場に立ち、便利で分かりやすい内容を提供するよう心懸けます。

専門性を向上させるため、日々、知見の獲得・深化に努め、その成果を具体的な結果として示します。

消費者庁職員には、職務上、安全・安心で豊かな社会を実現するための適切な制度設計及び法執行を行うことが求められます。そのため、日々、専門性を向上させるため、視野を広げ、知識を深め、また、その能力・経験をいかした成果を具体的な結果として示してまいります。

困難な課題であっても、できる方法を考え、挑戦し続けます。

消費者庁は、消費者の立場から、各省庁の所管を越えた、新しい、多くの困難な課題に取り組まなければなりません。そのため、従来の行政の発想にとらわれるのではなく、前向きに、できる方法を考え、解決に向かって、全力で、積極果敢に挑戦し、一歩ずつでも前進し続けます

 

3.消費者が勧誘拒絶の意思表示を明示している場合は、事業者は勧誘してはならないことを明らかにすること。

消費生活相談の状況をみると、電話勧誘販売や訪問販売によるトラブルは高位安定しており、必要のない商品やサービスを押し付け購入させられてしまう被害が多発しています。実際に訪問されまたは電話を掛けられた場合に、消費者がその場でキッパリと拒 否の意思表示をすることを求める事は無理があります。

「訪問販売お断り」のステッカーや「自動音声メッセージによる勧誘拒絶」等、勧誘を拒否している消費者に対しては、事業者は勧誘態様の如何を問わず勧誘してはならないことを明記することは必要と考えます。

 

4.消費者団体との連携を明記すること。

現状、消費者団体との連携は、「消費者団体の健全かつ自主的な活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする」でしかありません。県民の消費生活の安定と向上のためには、行政だけでできるものではなく、消費者側の推進軸となる消費者団体の育成は必須であり、車の両輪で推進することが必要です。消費者団体の育成と連携を明記することを求めます。

また、現在適格消費者団体を目指した活動が行われていますが、団体が認可されその業務を行うにあたっては、県や市町村が有する消費生活相談や消費者被害にかかわる幅広い情報の共有は不可欠となります。不特定多数の消費者の利益擁護や被害救済という公益保護的な役割を担う適格消費者団体に対して、状況に応じた支援を行うことができることも必要です。

 

5.条例の見直しにあたっては消費者団体の意見を聞くこと

1980年の条例制定時には県内各地で消費者団体の意見を聞く懇談会が開催され、意見は条例に反映されています。今回の見直しについても県域で活動する消費者団体をはじめ、消費者生活相談員、弁護士、司法書士等との懇談会を開催し、広く意見を聞き条例に反映することが必要と考えます。

また見直しにあたっては、実効性のある条例とするために審議会の下にワーキンググループを設置し、様々な角度から検討することを求めます。

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