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2016年8月11日

意見 四国電力活ノ方原発3号機の再稼働について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

四国電力鰍ヘ、愛媛県伊方町にある伊方原発3号機(出力89万kw)を、8月12日に再稼働をさせることを発表しています。再稼働は約5年3ヵ月ぶりです。原子炉に一次冷却材を送るポンプのトラブルのため再稼働が延期になっていたものです。今後は、13日に臨界に達し15日に発送電を開始するとしています。

伊方原発3号機では、ウラン燃料と使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使ってプルサーマル発電が行われます。東日本大震災後、プルサーマル発電の原発は福井県の高浜原発3・4号機が再稼働しましたが、司法判断により現在運転を停止しているため、伊方原発3号機が再稼働すれば、全国唯一のプルサーマル発電となります。

中村愛媛県知事は「何よりも安全確保を最優先に慎重に取り組み、起こった事象を決して隠さない、えひめ方式を徹底してほしい」とコメントしていますが、伊方原発は、愛媛県の佐田岬の付け根に位置しており、すぐ北側には中央構造線が走り、南には南海トラフという、まさに地震の巣のような所に建っています。そのような立地の原発を敢えて再稼働させる事は、絶対に反対です。

政府と県などでつくる原子力防災協議会は、「伊方地域の緊急時対応」を改定しましたが、地元住民の不安に抜本的に応えるものではありません。

以下、四国電力活ノ方原発3号機の再稼働について意見を表明します。

 

1.避難計画の実効性が不明なままでの再稼働は「人命無視」と言わざるを得ません

「伊方地域の緊急時対応」を改定したとしていますが、内容は、住民を避難させる際、通行する道路を細かく決めた、道幅に応じて自治体が用意するバスのサイズも事前に決める、住民への情報提供方法について自治体のホームページと併せて、ツイッターやフェイスブックも加えたなどですが、新たな避難方法を加えるなどしたものではなく、地元住民の不安には対応したものではありません。

伊方原発のPAZ(予防的防護措置を準備する区域)及びUPZ(緊急時防護措置を準備する区域)は、愛媛県の伊方町、八幡浜市、大洲市、西予市、宇和島市、伊予市、内子町と山口県の上関町と、2県の5市3町が含まれ、55,510世帯、12万3,838人の人口と報告されています。

言葉だけでなく「安全確保を最優先に慎重に取り組む」のであれば、少なくとも再稼働決定の判断をする前に30キロ圏の全住民の避難の図上訓練と実地訓練を行うことは不可欠です。

例えば、緊急避難時における災害時要援護者(寝たきりの高齢者や障がい者、妊婦など)のための寝台車や船舶の確保、在宅の要援護者の避難先での対応(病院や施設などの確保)、避難する住民や車両のスクリーニング(放射線汚染検査)の場所の設定、緊急時に使うバスの手配等をはじめとして、避難先の避難施設数、道路の渋滞状況の想定、人が多く集まる施設や企業での避難のあり方などの課題が十分に解決されていなければならず、その上で住民に説明責任を果たすことは社会的な義務です。

これら社会的義務を果たすことなく、まず再稼働ありきで前のめりにすすむような国民の命を大切にしない政策にはとうてい同意できるものではありません。

 

2.安定ヨウ素剤の配布に関して

愛媛県の伊方町では放射能が漏れる大事故対策として、原発から5キロ圏内住民に安定ヨウ素剤の配布が行われましたが、配布対象範囲が狭すぎます。福島第一原発事故の場合には、40キロ〜50キロ離れた福島県飯舘村までも猛烈な放射能汚染となっており、その現実を踏まえた配布は必要です。

また安定ヨウ素剤は、原発事故が起きて、放射性のヨウ素が住民達の元に届く前に飲まなければならないものであり、そのためには事故が起きた時に速やかに全住民が飲めるように、情報提供徹底訓練が必要です。

 

3.プルサーマルの発電について

3号機のプルサーマル発電は安全性を犠牲にし、経済性もないものです。プルサーマルは、燃料に使うプルトニウムは、人類が遭遇した最大の毒物とまで指摘されている物質です。ウランと比べれば何万倍、何十万倍も毒性が強いという物を燃料として使う発電には同意できません。

 

4.原発の再稼働には周辺自治体の同意があるべきです。

今回の稼働にあたり、2015年10月26日に愛媛県の中村時広知事は、同意表明を行いました。同意の表明に当たり、立地する伊方町以外の30キロ圏内にある市町にも配慮したことを強調しました。知事は国に要望して、四国電力などによる説明会を実施。これを受け、八幡浜市長が9月に再稼働に同意し、残る5市町長も10月5日、「知事に判断を任せる」と表明したと報道されています。

しかし、中村知事の再稼働了承以降、大分県内の地方議会で伊方再稼働反対の意見書が杵築、竹田、由布、豊後高田、国東市と可決され、再稼働には、重大事故が起きたときに被害が及ぶ可能性がある周辺自治体の同意も必要だと訴えています。福島第1原発事故では、原発から50キロ離れた飯館村も猛烈な放射能汚染に見舞われています。

例えば国東市は伊方原発から約50キロ。意見書は「国東市は伊方原発で重大事故が起きた場合、影響をもろに受ける位置にある。再稼働要件に周辺自治体の同意を入れるべきだ」と訴え、周辺自治体を含めた実効性のある避難計画の策定も求めています。意見書を取りまとめた総務委員長は、「全会一致の可決は議会が市民の不安を受け止めた結果で意義深い。同意の対象を周辺自治体まで広げるよう求めたのは、対岸に原発が見え、万が一のときには遮る物が何もないという危機感からだ」としています。国は真摯にこれらの声を受け止めるべきです。

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