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2016年5月21日

地域に根ざす「いのち」と「くらし」を脅かすTPPの批准に反対する

2016年5月13日
日本協同組合学会理事会

 

協同組合は、自由・自主・民主に価値をおく人びとの連帯の組織である。その目的は、非営利・協同の活動・事業をとおして、組合員・利用者に最大の奉仕をすることにおかれている。人びとに奉仕する協同組合という点において、資本に奉仕する株式会社とは対照的な位置にある。

 

TPPは資本に奉仕する株式会社、とりわけ世界市場を取り込みたい内外のグローバル企業だけに着目し、その活躍の場を国家的に提供しようとするものである。TPP協議と並行してすすめられた農協法改正は、協同組合の原理・原則を根本的に否定し、株式会社化への道を開くものであり、単に農協だけにとどまらず、協同組合そのものに対する攻撃であると理解せざるをえない。地域に根ざす「いのち」と「くらし」を大切に考える協同組合にとって、株式会社のほうが優れており、協同組合は不要だとする政府の考え方には同意できない。

 

日米主導のTPPであるが、例外なき関税撤廃はわが国農林水産業に大きな打撃を与え、国民の食料基盤のぜい弱化をもたらすばかりではなく、数多くの非関税措置の撤廃は食の安全・安心を守る基準や制度をはじめ、公的医療保険、保健・医療、金融・保険、政府調達、投資等の制度において実質的な変更を余儀なくさせ、地域に根ざす「いのち」と「くらし」を脅かす存在となりうる。

 

われわれが被害者になる、という視点は重要であるが、TPP参加の途上国に対しては加害者となるという視点も忘れてはならない。金融・保険のみならず、さまざまな分野で日本のグローバル企業が途上国への進出をめざしている。こうしたグローバル企業が内国民待遇を利用して、途上国の経済や環境、健康に負の影響を及ぼす可能性がある。

 

  1. 交渉過程も明らかにせず、本則・附則あわせて20本の法改正を短時間で一括審議するのは論点隠し、争点隠しにほかならず、議会制民主主義の軽視である。
  2. 法律はその国の文化の反映である。しかるにISDS条項の運用いかんによっては、わが国の司法の及ばない恐れがある。その結果、日本の社会制度・文化・伝統の否定をもたらす危険性がある。
  3. TPP議論の本質は、経済活動の自由のためであるかのように装いながら、背後には日米安全保障・防衛問題が隠されており、真の自由貿易の議論ではない。
  4. TPPは関税撤廃に向けて後戻りできない一本道の条約である。当初は関税撤廃を逃れてもいずれは関税撤廃に追い込まれることは確実で、協定発効から7年後に相手国の要請によって開催される再協議がそのことを裏打ちしている。
  5. 食料生産基盤を持たない都市の消費者にとって、生産者との産消提携は地域に根ざす「いのち」と「くらし」を守る重要な取り組みであり、こうした人と人との関係性を軽んじるTPPは市民生活のすべてに破壊的な影響を及ぼす。
  6. 非関税措置の撤廃によって、農協金融・共済事業の分離、共済と保険とのイコールフッティング、厚生連病院の社会医療法人化、遺伝子組換え食品の表示ルールの変更、外国企業による農地所有、政府調達への外国企業参入による協同組合受託事業の縮小など、協同組合の存続にとって重大な脅威となる仕掛けが内在している。

 以上の理由から、われわれは地域に根ざす「いのち」と「くらし」を脅かすTPPの批准に反対する。

 

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