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2015年7月10日

九州電力・川内原発1号機の再稼働準備について

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

 

九州電力は7月7日、川内原発1号機の原子炉に核燃料を装填する作業を始めました。今後の検査で問題がなければ8月10日頃に原子炉を起動し、8月13日前後には発電・送電を開始して再稼働する予定とされています。また川内原発2号機は10月下旬の再稼働を目指すとしています。川内原発1号機が再稼働すれば、東京電力福島第1原発の事故を受けて2013年7月に施行された新規制基準に「適合」した原発とした、全国で初の再稼働となります。

しかしながら川内原発の再稼働問題では、東京電力福島第1原発事故の教訓が十分に活かされ、対策が取られているとは思えません。課題を積み残しにしたまま、再稼働に向けてすすむことについては大きな問題があると考えます。

 

1.避難計画ができていないままの再稼働は「人命無視」と言わざるを得ません

福島第1原発事故で被害が広域化したことの経験から、避難計画の策定など、事前に対策をとる原子力防災の重点区域は10キロ圏内から30キロ圏内に拡大されています。川内原発の場合、対象となる自治体は9市町(薩摩川内市、阿久根市、出水市、姶良市、いちき串木野市、日置市、鹿児島市、さつま町、長島町)で、住民は約21万人です。この住民を30キロ圏外の鹿児島、熊本両県の19市町に避難すると計画していますが、受け入れ態勢の整備は進んでいません。報道によれば、鹿児島県が受け入れ自治体に要請しているのは1人当たり広さ2平方メートルで換算した避難先施設の提供だけで、先方の自治体担当者は困惑しているとされています。

またこの間大きな課題として浮彫りとなっている弱者、要援護者への対応について、例えば、緊急避難時における要援護者(寝たきりの高齢者や障がい者など)のための寝台車の確保、在宅の要援護者の避難先での対応(病院などの確保)、避難する住民や車両のスクリーニング(放射線汚染検査)の場所の設定、緊急時に使うバスの手配等をはじめとして、避難先の避難施設数、道路の渋滞状況の想定、人が多く集まる施設や企業での避難のあり方など、「安全性の確保が再稼働の大前提」であるとするならば、これらの課題は十分に解決され、その上で住民に説明責任を果たすことが社会的義務です。

これら社会的義務を果たすことなく、まず再稼働ありきで前のめりにすすむような国民の命を大切にしない政策にはとうてい同意できるものではありません。

 

2.30キロ圏内の全自治体の同意がなければ原発を再稼働させるべきではありません

避難計画を義務付けられている自治体が、なぜ稼働について同意するかどうかの権利を持てないのでしょうか。こんな理不尽な話はありません。川内原発の場合、地元同意の範囲について鹿児島県知事は「薩摩川内市と鹿児島県で十分だ」としていますが、避難計画の策定など、事前に対策をとる原子力防災の重点区域対象となる自治体は9市町です。30キロ圏内にある日置市、いちき串木野市の両市議会は、昨年の9月にみずからの市にも同意を求めるべきだとする意見書を可決しています。また姶良市議会は昨年7月に再稼動反対と廃炉を求める意見書を全会一致で可決しています。このような地元の意見は十分尊重されるべきではないでしょうか。

昨年11月6日の衆院原子力問題調査特別委員会で、菅直人衆議院議員は「30キロ圏の自治体がこれでいいと言わないと(再稼働の)スイッチは押せない、そういう理解でいいんですね」との質問しましたが、電力会社を代表して参考人として出席した東電常務の姉川尚史参考人は「地域防災計画が定まっていない、すなわちご理解いただいていないということであれば、我々事業者としては再稼働の条件が十分でないという風に認識しております」と回答しています。

大間原発に関して30キロ圏内にある函館市は、稼働に関して同意を持つ権利を持っているはずだと東京地方裁判所に裁判を提起しています。

福島の原発事故で被害が広域化したことの経験から、避難計画の策定など、事前に対策をとる原子力防災の重点区域を10キロ圏内から30キロ圏内に拡大したのです。ですから、関係する地元として30キロ圏の自治体を同意の対象とするのは、当然の理と考えます。

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