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2015年5月4日

法務省民事局参事官室 御中

商法(運送・海商関係)等の改正に関する中間試案に関する意見

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

意見1.

(1) 商法第590条1項の規律(立証責任の転換と人身損害の場合の免責を排除する)を維持することは、現在の運送業務のように技術化と分業化が進み、顧客側が運送事業者の責任を明らかにすることが極めて困難であること、及び人身に関する法益はかけがえのない重いものであることから妥当なものと考えます。

(2) また商法第590条1項に反する特約で、旅客に不利なものを無効とする規定をおく乙案を支持します。

理由

(1) 消費者契約法8条の事業者に対する免責条項を無効とする規律では、人身損害の場合の一部免責は無効となりません。また同法10条において無効となるかどうか明確ではありません。

(2) 運送事業者と消費者が直接契約する場合は、消費者契約法の規律が及びますが、企画型旅行において旅行業者が運送業者と契約する場合、企業や学校、町内会などが運送契約の当事者となる場合には、消費者契約法の規律は及びません。このようなケースにおいて人身損害が生じた場合に、約款により運送事業者が免責とされてしまう場合があり得ます。

(3) 人身損害の賠償額について特約で上限を定めているものがあります。遊覧航空の事業者の約款において、人身損害に対する運送人の責任を旅客1人につき2300万円までに制限する条項があります。

(4) 鉄道旅客運送には標準約款がなく、各社の旅客営業規則が契約内容を規定していますが、旅客の人身損害についての運送人の責任に係る規定は、おかれていないというのが通例です。利用者には事業者側の従業員や役員の担当している職務分担や行うべき業務の内容などはわかるものではなく、従ってその注意義務違反を立証することは大変困難です。実際に信楽列車事故では、旅客側が運送人の過失の立証に苦労しています。

 

意見2. 

堪航能力担保義務に相当する安全性担保義務を、無過失責任として陸上運送・航空運送にも規定するべきです。

理由

(1) 人身に関する法益はかけがえのない重いものであり、運行責任者の過失の有無にかかわらずその損害は賠償されるべきであることから、堪航能力担保義務に相当する安全性担保義務について、無過失責任として陸上運送・航空運送にも規定することを検討すべきです。安全性担保義務の規定により、運送人が負うべき義務の内容が明確化されることが期待できます。

 

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