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2014年8月12日

原子力規制委員会原子力規制庁原子力規制部安全規制管理官(PWR担当) 御中

九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について

神奈川県消費者団体連絡会
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Yoshihiro.Maruyama@ucoop.or.jp
事務局長 丸山 善弘

 

原子力規制委員会は2013年7月8日に九州電力鰍ゥら出された核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定に基づく川内原子力発電所1・2号機の原子炉設置変更許可申請書を受理し、原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合において審査を行い、2014年7月16日に審査書(案)を取りまとめ公表しました。

この審査書(案)について意見を述べます。

 

T  はじめに   に関する意見

1.  原発事故の影響を受ける住民全員の早期避難の保証なしに原発の再稼働を判断する姿勢は、住民の生命・身体の安全を無視するものです。

理由

  • 国や自治体主導の「避難計画」について、伊藤鹿児島県知事は、鹿児島県議会において「要援護者の避難計画は10キロで十分。30キロまでは現実的ではなく不可能だ」と発言をしています。川内原発から30km圏には約80の病院、約160の福祉施設があり、想定する避難者は計約1万400人です。病院や福祉施設の入院患者や高齢者ら災害弱者の避難について受け入れ先の調整など計画の策定は目途が立っていません。避難の際の集団移送輸送手段となるバス手配などにも困難があります。
  • 30キロ圏内にある姶良市議会の湯之原議長は、「伊藤知事は体の不自由な要援護者の避難計画についても県が定めた30キロ圏は現実的ではなく、10キロ圏ぐらいまで作っておけばいいといっている。健常な人だけ逃げれば良いのか。県が策定した避難計画のシミュレーションでも、平時のみを想定したような内容が多い。乗用車での避難を前提にしているが、運転できない人はどうなるのか。避難計画で示された避難経路も、地震による崖崩れや津波で実際では使えないと想定される。全部ではないが不備が目立つ」と指摘しています。
  • また、福島原発の事故発生時には吉田所長の命令に反して福島第一原発の職員の9割以上が現場を放棄していなくなったと、「吉田調書」では赤裸々に述べられています。避難誘導に当たるべき自治体職員が現場放棄をしない保証はどこにもありません。
  • 自治体において実効性のある避難計画が策定されているか否かに関係なく再稼働の適否を判断する姿勢は、原発周辺住民の生命・身体の安全を無視するものです。

 

2.  地域住民の避難等に関する緊急時計画について、原子力規制委員会がこれを審査する仕組みでないことは欠陥です。

理由

  • 世界的には、原発の設置・運転と緊急時計画の策定とは連携が取られています。IAEA(国際原子力機関)の策定する基準「原発の安全:設計」においては深層防護の第5層として、事故により放出される放射性物質による放射線の影響を緩和することが求められ、そのために、十分な装備を備えた緊急時管理センターの整備と原子力発電サイト及びサイト外の緊急事態に対応する緊急時計画と緊急時手順の整備が必要とされています。
  • アメリカNRC(原子力規制委員会)の規定する連邦規則によると、緊急時計画の条項において、放射能が放出される緊急事故時に十分な防護措置が取られる保証があるとNRCが判断しなければ原発の運転が許可されないと規定され、十分な緊急時計画を許可条件としています。実際に稼働前に廃炉とされて原発も存在します。
  • しかしながら日本の基準には緊急事故時における避難等の緊急時計画が基準として策定されておらず世界標準の規制基準といえるものではありません。

 

3.  新規制基準は原発再稼働の安全を担保する内容ではありません

理由 

  • 新規制基準は、福島第一原発事故を踏まえたものとしていますが、福島第一原発事故の解明がされたとは言えません。国会事故調査報告書は、1号機の非常用電源喪失が津波到着前に生じていたこと等の理由から、1号機については、津波が電源喪失原因であることはあり得ないとしており、原発事故の原因が完全に解明されているとは言えません。
  • 現在においても福島第一原発からは大量の汚染水が排出され続けており、どう考えても「収束している」状況とは考えられません。
  • 事故原因の完全解明のないまま設けた新規制基準では、原発再稼働の安全性担保とはなりません。

 

V―4.2.3   火山の影響に対する設計方針 に対する意見

1.  火山(火砕流)の危険性が考慮されていません

理由

  • 実用発電用原子炉及びその付属施設のT、構造及び設備の基準に関する規則6条1項は、「安全施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項においても同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。」と定め、また、規制委員会が作成した原子力発電所の火山影響ガイドは、「原子力発電所の運用期間中に火山活動が想定され、それによる設計対応不可能な火山現象が原子力発電所に影響を及ぼす可能性が小さいと評価できない場合には、原子力発電所の立地は不適になる」と定めています。
  • 川内原発の周辺には、阿蘇カルデラ、小林・加久藤カルデラ、姶良カルデラ、阿多カルデラ、喜界カルデラなどがあり、うち3つは海底にあります。毎日新聞が全国の火山学者に行ったアンケート(2014年2月23日記事)では川内原発は最長60年の原発稼働期間中に巨大噴火が発生し、火砕流の被害を受けるリスクがあると回答しています。同様に西日本新聞が全国の火山学者に行ったアンケートにおいても、29名中18名が、川内原発は最長60年の原発稼働期間とその後の使用済み核燃料保管期間中に巨大噴火が発生し、火砕流などの被害を受けるリスクがあると回答(2014年4月21日記事)しています。
  • さらに、第一人者である中田節也東京大学噴火予知研究センター教授は、「川内原発には無理のない想定で火砕流が届きます。なぜ届かないといえるのか、つめて学問的にいえるようにならないと、許可しないほうがいいと私は思います。」(科学、2014年1月号)「本来あの場所には建てない方がよかった。」「少しでも不安材料があれば運転を止め、対策をとれる体制が確保できるまでは審査を通すべきではないだろう。」(朝日新聞、2014年5月8日記事)
  • 火山学者の指摘を受け止めるならば、川内原発は、火山影響評価ガイドに照らして、立地不適とすべきです。

 

その他

東京電力福島第一原子力発電所の大事故から3年を経過し4年目に入っておりますが、福島原発のこの間の汚染水管理の状態を見ても、とても「アンダーコントロール」という状態ではありません。また多くの福島県民(7月10現在、福島県内81,252人、県外45,193人)には、依然として困難な避難生活を強いています。

このような状況であるのもかかわらず原発の再稼働に向けて動くことは、原発事故などこの日本で起こった事ではないかのようであり、同じ国民として理解できません。

現実にこの日本で起こしてしまった事から目を逸らさずに、原子力発電所の事故処理の困難さと遅れ、2012年のパブリックコメントで表明された原子力発電及び原子力発電推進政策に対する国民の大きな不安と不信、核燃料サイクル政策の破綻状況等々を踏まえて冷静にエネルギーについて考えるべきです。

 

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