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2013年11月20日

「原発事故子ども・被災者支援法」の幅広い適用と具体策の実施及び損害賠償請求の時効問題の抜本的な解決を求める意見

神奈川県生活協同組合連合会
専務理事 丸山 善弘

2012年6月21日に「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、原発事故子ども・被災者支援法)が成立しました。この法律は原発事故により一変してしまった人々の暮らし・心・体を守り支えるために全会派の賛成により成立した法律で、被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与するため、幅広い生活支援等施策を推進するためのものです。

また国の原子力災害に対する責任及び原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負うことを明確にし、被災者が居住、移動及び帰還についての選択を自らの意思で行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合でも適切に支援することとしたことや被災者に対する差別が生ずることのないような配慮、子ども及び妊婦に対しての特別な配慮、被災者の支援の必要性が継続する間確実に実施する等という画期的な法律であると評価します。

 

しかしその一方で、原発事故子ども・被災者支援法は理念や枠組みのみを規定したものであり、支援対象地域の設定、支援施策の内容及びその財源、地方自治体との連携などについて、具体化はされていないことが課題でした。全国に散らばった被災し避難された方々は様々な困難を抱えて避難生活を送っていますが、公的な支援は限られています。

 

1年2カ月以上もかかって政府は8月30日にやっと「具体的な施策」を定めた基本方針案を発表しました。この基本方針案に対しては、多くの被災当事者・支援者が「支援対象地域は空間線量年1mSvを基準とし、福島県は全域を」「各地で公聴会の実施を」と声をあげ、全国からも4,900件を超えるパブリック・コメントや自治体からの意見が多く寄せられたと聞いています。残念ながら基本方針案の内容は既存の施策をまとめ直しただけであり、「支援対象地域」から外された地域も福島県会津地方や関東、東北の広範囲に及んでいます。10月2日時点で130余の地方自治体が同法に関する意見書を採択し、その多くは支援対象地域の範囲設定など、基本方針案の抜本的な見直しを求めていると報道されています。

しかし政府は基本方針案について微細な修正を行ったのみで閣議決定を行いました。これは、法の第5条第3項・第14条で「被災者の意見の反映」を定めた子ども・被災者支援法の規定からも逸脱するものであり、被災当事者をはじめ国民軽視もはなはだしいものです。

原発事故では今なお15万人がそれまでの暮らしから追われ、全国でつらい避難生活を強いられています。被災者も国民も、一刻も早い法の理念に基づく具体的施策の実現を望んできました。政府の対応を見ると、原発事故子供・被災者支援法の施策をできるだけ小規模に留めようとしているとしか思えません。

 

原発事故子ども・被災者支援法の基本理念である「健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期する」に基づき、「支援対象地域は、年間1mSv以上となる全地域及び福島県の全域とし」「各地で公聴会を実施し常設の被災者等協議会を設置」など、被災当事者をはじめ国民意見を反映させた、基本方針の見直しと具体的施策の実現が必要です。

また福島原発事故を原因とする様々な損害、例えば避難の実費、財物損害、風評被害や精神的慰謝料などは、民法上、3年以内に行使しなければ法的には時効によって消滅してしまう規定になっています。そのため、2014年3月以降に被害者の損害賠償請求権が消滅し始めるという問題があります。

東京電力は、時効が来ても個別被害者の事情に応じて柔軟に対応するとは言ってはいますが、本来、東京電力の判断に委ねるのではなく、すべての被害者について、包括的に時効問題を解決する立法をすることが必要です。

原発事故の被害を直視し早急な対応を求めます。

 

1.「原発事故子ども・被災者支援法」の目的・基本理念に基づいた、被害者の声を反映させた具体策の実施を求めます。

2.損害賠償の時効問題を抜本的な解決するために、すべての被害者について包括的に時効問題を解決する特別立法を求めます。

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