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2013年10月8日

首相の「消費税増税実施表明」に関する意見

神奈川県消費者団体連絡会
事務局長 丸山 善弘

安倍晋三首相は10月1日午後、官邸で開かれた政府与党政策懇談会で、「経済政策パッケージの実行により消費税率を引き上げたとしても、その影響を極力緩和することができ、日本経済を再び成長軌道に回復することが可能だ」として「平成26年4月に消費税率を5%から8%に引き上げる判断をした」と述べ、消費税増税法案通りの実施を表明しました。同日の臨時閣議で正式に決定、その後の記者会見を行いました。 

引き上げの決断に当たっては、首相が最後の指標としていた日銀短観が10月1日朝に発表され、大企業製造業の景気判断がリーマンショック以降、最も高い水準となったことや、消費税率引き上げに伴う経済対策について9月30日夜、与党側の了承が得られたことを受けたものと報道されています。消費税率の引き上げは17年ぶりのこととなります。 

社会保障・税の一体改革関連法案は2012年6月26日に衆議院で可決、8月10日に参議院で可決成立しましたが、社会保障改革については、子ども子育て分野など、一部のみが可決され、残りの社会保障改革の多くの分野については社会保障制度改革国民会議(清家篤会長)で議論されることとなり、そこでの論議は2013年8月5日に最終報告書としてとりまとめられました。

私たちは日本の社会の重要な課題である社会保障制度改革の内容について、今後の社会保障を支える世代、現在の社会保障を支えている世代、現在社会保障を受けている世代などそれぞれが関わるしっかりとした議論がなされないまま、消費税の増税のみが先行することには問題があると考えます。現在は家計収入の増加が実感できる状態ではありません。まずは従来から指摘がされている逆進性への対応など、丁寧な対応や説明がなされるべきと考え、以下の意見を表明します。

 

1.国民生活に密接な社会保障・税の一体改革であるならば、しっかりとした議論がなされるべきです。

財政収支の改善内容が明確ではなく、社会保障改革の内容が十分に論議がされたとは言えない中で、消費税の増税のみが先行していることには問題があると考えます。国民生活に密接な社会保障・税の一体改革であるならば、今後の社会保障を支える世代、現在の社会保障を支えている世代、現在社会保障を受けている世代などそれぞれが関わるしっかりとした議論がなされるべきです。

2.家計収入の増加が実感できる状況にはなっていません。

勤労者の平均年収は1997年度の467万円をピークに2011年度409万円と大きく下落しています。1997年度を100とした賃金指数を見ると、EU27か国平均で140%超であるのに日本は90%です。この間の不安定・非正規雇用の拡大により、年収200万円以下のワーキングプアは1,100万人を超える状況となっており、国民の消費購買力を大きく低下させています。また全法人企業の99%は中小企業で、73%弱が赤字法人であり、労働者の7割は中小企業で働いています。家計収入の増加が未だ実感できる状態ではない中での消費税の引き上げは、国民のくらしに大きな打撃を与えるものになります。

3.逆進性緩和策が必要です。

消費税は全ての所得階層に対して同率の税率を課せるものです。家計調査の世帯別の収入・支出データでは、年間可処分所得が低くなればなるほど、世帯における消費税の課税対象項目に対する消費性向が高くなるという関係が見られます。従って消費税率の単純な引き上げは、低所得者層における負担を相対的に重くし、逆進性の問題をより顕在化させます。低所得者層に対する逆進性の緩和策を明確にすべきです。食料品に対しては軽減税率を導入する等が逆進性の緩和に有効であると指摘されています。

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